速く読むために必要な力(その2)

こんにちは!

緊急事態宣言が解除されて、分散登校やら時差登校やらが行われていましたが、来週からいよいよ子どもたちが「ほぼ」通常通り学校に通い始めますね!

「別に、学校に行かなくても、オンラインの勉強でもよくね?」みたいに話していた子どもたちが、世間ではいたようですが(我が家の中にも…💦)、それは正直残念な話しで、これから学校に行って「やっぱり学校に来れてよかった😊」って言ってもらえるよう、先生方には頑張っていただきたいです。

 

さて、今回は、少し前に書いた記事の続きです。

まだ、読まれていなかった方は、こちらの記事を読んでからお読みくださいね。

「速く読むために必要な力(その1)」

簡単にまとめると、前回は札幌速読教育センターでは「速読」をどのように定義しているかということと、一般的に「目」と「脳」の機能向上をはかるトレーニングだけでは、子どもの速読効果は限定的だということを書きました。

 

今回は、前回の最後に書いた、「一般的な速読トレーニング」(「目」と「脳」の機能向上)と合わせて行いたい、4つの必須トレーニングについて、説明していきます。4つのトレーニングとはすなわち、

1)論理的思考力の向上
2)言語運用力の向上
3)背景知識の強化
4)多読

の4つです。

 

まずは、「論理的思考力の向上」。

文章(文)は、論理的に書かれています。物語や詩歌のようなものでも、きちんと読者の理解を求める表現であるなら、少なくとも一定の「つながり」が基本的にはあるはずです。文章を読む時に、この論理的なつながりを読者はしっかりと追いながら読んでいく必要があります。

例えば、多少極端な例ではありますが、「雨が降っていた」ということと、「傘を持って行かなかった」ということが、逆説の関係にあることがわからないとします。

すなわち、「雨が降っていた(  )、傘を持って行かなかった。」という文があった時、当然(  )には「けれども」とか「にもかかわらず」とかが入るべきところですが、「ので」や「から」を入れる場合と区別がつかない状況ですね。

その人が、もし「雨が降る中、彼女は傘を持って行かなかった。」という文を読んだとすると、「なぜ傘を持たずに出かけたのか?」という疑問が頭に浮かんできません。「傘を持って出かけなかった」ことの背景説明が文脈上大きな意味を持つとしても、それに気が付かないとストーリーの展開においていかれる可能性があります。

 

算数の文章題にありがちな、こんな例も同様です。

「クラス30人の全員が犬か猫のどちらかを飼っている」状況だとします。この状況では「犬も猫も飼っていない人はいない」ということになりますが、その「前提」がわかっていない人にとっては、「犬を飼っている人が18人、猫を飼っている人が18人いる」と言われても、「犬と猫、両方飼っている人が6人いる」と考えられる理由が、すぐには理解できません。まずは始めの「前提」から理解する必要があり、当然全体を理解するのに、時間を要してしまいます。

このように、「こうであればこうなる」という思考の論理性を、読者が筆者と共有できている時に初めて、読者は筆者と同じ理解に立ったり、同じ感情を共有したりができます。逆に、文章によって伝えられるメッセージの論理性が読む側にも共有されていない時には、その文章のメッセージを正確に理解することが難しくなり、理解するのに時間がかかったりします。言い換えると、たとえ文章を素早く目で追えたとしても、その文章理解が正しいかどうかは非常に怪しくなります。

 

思考の論理性は、多くの部分が経験値によって培われます。人生経験の高い大人は、個人差こそあれ、それなりに論理的に考える力がついていると思いますが、多くの子どもは発展途上です。

たくさんの文章を読むことで、そういった経験値を上げることができますが、読むのが苦手な子どもは理解を助ける論理性も養えず、一層読むのが嫌いなままになります。

文章を読むのが苦手という子どもには、まずは考えるトレーニングから始めるべきだと私は考えています。算数の計算やら、図形の問題なんかもいいと思います。それらを考えることが論理性を養うことにつながり、読んで理解する力につながっていくからです。

「算数の計算はできるんですが、文章題になるとできなくて…」みたいな声が聞こえてきそうですね(笑)

その辺は、またの機会に触れたいと思います。

 

※先月から今月にかけて、当教室では「速解力検定」の受検をしています。継続して受けてきている子もいれば、今回初めての子もいますが、普段のトレーニング成果が反映されるとよいなぁと思います。

速解力検定